スダジイ (1999.5.15、2004.5.3、2010.5.16(よしゆきさん))
 Castanopsis cuspidata var. sieboldii


 いつもは地味な樹であるが、5月中旬になると急に、スダジイがあることに気付かされる。というのも,強烈な芳香を放つためである。ちょうど栗の花のような生臭い匂いを周囲にまき散らす。黄色い稲穂のような花が樹いっぱいに咲く頃には、一本の樹があるだけで100メートル四方が芳香に満ちる。花の全盛期には木全体がまっ黄色になり、遠くから見ると山の一部が変色しているように見える。黄色くなった山を見ていると、結構たくさん植えられていることに気付く。「椎」の仲間では、「まてばしい」も精力旺盛な樹であり,同じような匂いを放つ。
 スダジイの実は、シイの実として昔から里人に愛用されていた。黒くなった堅果から採ったものは生でも食べられるが、少し炒ると香ばしくて美味しい。今も、京都府立植物園の大きなシイの木の下では、秋になるとシイの実を拾い集める人の姿が絶えない。
 学名はCastanopsis cuspidata var. sieboldiiで、ブナ科シイノキ属である。やはり、シーボルトが日本で採取したとの名が付いている。
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 「今まであまり雌花を意識していなかったので、今年は雌花を写してみました。雄花は本年枝の下部で下垂し、雌花は上部で上向きにつくようです。雌花の柱頭が3裂しているのが見えます。」とのメールと共に、雌花や幼果が綺麗に写った写真を送っていただいた。

以下の8枚は、よしゆきさんの撮影である。

雌花は先端部に付く                  雌花の花柱は3個(よしゆきさん撮影、2010.5.16)


2月の幼果、昨年の雌花が冬を越して実に育っていく(2010.2.7)


8月には、堅果がかなり大きくなる(2009.8.8)


10月には熟して、黒い実が覗く(2009.10.3)


5月、満開のスダジイ。強い芳香を周囲に放っている(2004.5.3)


雄花は枝の下部に、雌花は先端の葉の脇から伸びている


左側手前に雌花を付けた茎が見える


雄花拡大


5月の山は、スダジイの花で部分的に黄色く見える。(箕面、龍安寺裏山)


大きく育ってきた昨年の実


葉の表裏


葉の裏が灰褐色であればスダジイと思って良い


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