アキチョウジ−秋丁字
 Isodon longitubus
 2005.9.4(比婆山-1100m)、2006.9.27(金剛山-1100m)


 9月の山の木陰などでよく見かける花である。50cm程度の高さの草の先端から花穂を出して淡紫色の細長い花を沢山付ける。花は花茎の一方向に向いており、先端はシソ科特有の唇形である。上唇は鈍く3裂する。この花の形が、チョウジノキ(丁字の木、フトモモ科の木 最下段参照)の花蕾の形に近いので、「秋丁字」と呼ばれる。丁字と聞いて、花がTの形をしていないのにおかしいと思ったが、最下段にある植物の丁字が「チョウジ」と読むのに対して、Tの形は甲乙丙丁の丁であるから「テイジ」と読み、別物であることが分かった。
 アキチョウジの茎は円形でなく角張っており、シソ科の特徴が出ている。分布は中部地方の岐阜県辺りより西になるが、中部・関東地方には「セキヤノアキチョウジ(関屋の秋丁字)」という類似種がある。秋丁字に比べると花柄が長く、花の先端の唇形が尖っており、葉もやや細長い特徴がある。
 学名は Isodon longitubusで、シソ科ヤマハッカ属の多年草である。花期は8−10月。岐阜県以西の本州と四国、九州の山地に生える。なお、ヤマハッカ属の学名はIsodon、Rabdosia、Plectranthus等が同義語として使われるので、ややこしい。longitubusは「長い管状」の意味。

薄紫の綺麗な花が並ぶ(2005.9.4、比婆山池の段))


一方向に突きだして並ぶ


シソ科特有の口唇形の花(2006.9.27、金剛山頂付近)


上唇は鈍く3裂する


葉の先端が尖り、鈍鋸歯がある。角形の茎も見える。


群生している様子


チョウジノキの花蕾、右は乾燥した蕾で香辛料として使われる
  (wikimediaより借用)


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