岩手県大船渡市の「三陸大王杉」 (2015.7.12、澁川さん)


 澁川さんは娘婿のお父様で、いつも「木々の移ろい」を応援して下さる。今回も、三陸の復興の様子を見に三陸鉄道沿線を巡られた際に、三陸大王杉と一本ポプラ(こちらは改めてご紹介します)を写して、丁寧な解説と共に送って下さった。なんとも嬉しいことである。写真も上手で、迫力満点である。以下は澁川さんからの説明文です。
 「樹齢7000年と地元では言っているようです。現に城跡の説明書にもそのような記述が見えます。インターネットで調べた限りでは、正確な樹齢は記載がないようです。 1500年位という記述もあります。とにかく大きく、隣にあるいわゆる千年杉との比較でもその巨大さが際立っています。中央にこぶのようなものができていて薄桃色になっているのが特徴的です。位置がわかっていれば、三陸鉄道南リアス線三陸駅(大船渡市盛駅と釜石駅のほぼ中間)からも見ることができます。
 駅から600mだそうです。道路からかなり急な石段を登ったうえの八幡神社の祠横で、今回の津波の影響はありません。駅からの近道になる八幡神社の参道の下の石段は地震で崩れて今でも通行禁止になっており、少し先まで行って戻る形になります。」
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 最下段に地図で示したように、三陸大王杉のある地域の地名は「杉下」となっており、これは、大王杉の最盛期には村全体が杉の下にあるような印象だったことを指しているのであろう。八幡神社の後ろは小高い城跡で、「本丸城趾」とされている。南北朝時代の1334年から1392年まで、南朝に属した多田左近将監が在住していたといわれる。
 1991年の環境庁調査によれば、三陸大王杉は樹高20m、目通り幹周11.6m、樹齢1500年と推定され、岩手県最大の杉であり、大船渡市の天然記念物に指定されている。この杉は真っ直ぐに伸びる通常の杉とは異なり、下部から太い枝が分枝する「裏杉(芦生杉)」と呼ばれる種類で、日本海側で多く見られる。大王杉は厳しい自然環境などでかなり痛んでいたが、平成2年に樹木医による大規模な蘇生外科治療を受けた。その治療跡が下部に残っているが、今はかなり元気を取り戻しているようである。
 なお、八幡神社の社叢には三陸大王杉以外に、樹高30mの杉が2本あり、幹周は4.5m(千年杉と命名されている)と4.2mである。千年杉は下段に写真がある。

今もなお、大きな樹冠を持つ


八幡神社の社殿を圧倒して伸びている



蘇生治療の跡がやや痛々しい


三陸大王杉と共に社叢を形成する「千年杉」


三陸駅から三陸大王杉への経路(国土地理院地図による)


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