北海道伊達市の「弄月(ろうげつ)のサイカチ」
  (2003.9.5、2005.2.4、西村さん)


 雪の北海道から、今年最初の巨木はサイカチである。西村さんは夏にもこの木を訪ねられていて、対比が面白い。詳しい説明を書いて下さった。
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 2003/9/5 室蘭からの帰りに始めて立ち寄った。国道から外れた市道で、歩道上にドンと立っていた。北海道には珍しい木で、これが始めての対面であった。解説板には
「弄月のサイカチ記念保護樹木
サイカチはマメ科の落葉高木ですが、本州中南部や四国、九州など暖かい地方に生育しているものであり、北海道では珍しい樹木です。材は器具材に利用され、実は薬用として、また、石鹸の代用として用いられました。このサイカチは、伊達亘理藩が当地に入植したときに植えられたものといわれており伊達市開拓の記念木ともいえます。昭和48年3月30日指定 北海道」
とあります。伊達市教育委員会の標柱も立っています。しかし、根方はアスファルトで四角く囲まれ、電話線が木の間を縫っているなど、環境は良くありません。背後は農家の敷地で、この木の所有者と思われます。文献では所有者は木村恭清氏、幹周448cm、樹高16m、樹齢120年(伝承)。保護制度:北海道記念保護樹木、伊達市指定記念物とあります。
 太い木です。枝や葉も豊富で樹勢は旺盛です。葉は見慣れたニセアカシヤと良く似ています。同じマメ科なので似ているのでしょう。棘のあるのも似ていますがこちらの棘は強烈です。こんな大きな鋭い棘は始めてでびっくりしました。3〜4cmの長さでおまけに棘の途中に小さい棘が2本、釣り針の返しのような感じで付いています。それが枝ばかりか、何と幹からも直接出ています。危険でとても登る気は起きません。棘が珍しく、小枝を注意深く手折って家で眺めておりました。
 伊達市は北海道の中でも気候温暖な地域なので、うまく合ったものと思われます。道路を隔てて水田や畑地が広がり、その向こうに有珠山と昭和新山が見えます。雪中の写真の右に昭和新山が、左に有珠山が見えます。仲間のいない北海道では寂しいだろうと思ったところ、近くにもう一本のサイカチの大木がありました。1Kmほどの距離です。こちらは松ヶ枝のサイカチと呼ばれ、その通りは地図には「サイカチ通り」と名付けられています。松ヶ枝のサイカチは弄月のよりもずんぐりしています。文献では幹周は520cm、高さは不明ですが弄月のよりは明らかに低いように見受けました。
 開拓期に何本か植えられたうちの2本のみが残ったものと思われます。子供達を棘で脅しながら、ともに長生きしてもらいたいものです。
 伊達市の道の駅から国道37号線を室蘭方向へ500mほど行くと歩道橋があります。そのすぐ手前の信号で左折。300mほどで信号。ここを右折して400m程で弄月のサイカチ、右折せずに真っ直ぐ500mで松ヶ枝のサイカチ。この向かい側に高等養護学校があります。
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 JR室蘭本線の伊達紋別駅で降りて、門別川を渡り北東に500m進むと伊達市役所である。ここから北に少し進むと国道37号線に出る。国道37号線に沿って左手に総合公園を見ながら室蘭方面に800mほど、ここの信号から国道はやや南に向かう。徒歩の場合にはここから37号線を離れて真っ直ぐ進む。小学校を左に見て800mほど進むと弄月のサイカチ、小学校の手前を左折して養護学校の方に進むと松ヶ枝のサイカに出会う。車の場合にはさらに37号線を進んで歩道橋の手前を左折する。



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