北海道斜里町の「岩尾別のミズナラ」 (2010.1.23、Hiroaki.Sさん)


 Hiroaki.Sさんによる知床のミズナラの第3弾です。Essence of SIRETOKO - 知床の魅力という素晴らしいホームページも、どうぞご覧下さい。Hiroaki.Sさんの思いが伝わってきます。以下は送っていただいた文章です。
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    北海道斜里町岩尾別のミズナラ   撮影日2010.1.23

 知床で最も有名な観光地、知床五湖はシーズンになると多くの観光客が訪れます。知床連峰を背景にした知床五湖の景観は四季それぞれ違った美しさを楽しませてくれますが、実は大きな木はほとんど見られません。古くから開拓者が入植した地域なので、目ぼしい木はすでに切られてしまったのかもしれません。
 近くを流れる岩尾別川流域も同様で、森の奥を歩いてみると結構切り株が目に付きます。それでも時々、幹周りに4mを超える巨木に出会うことがあります。
 そして、厳冬期になるとヒグマが冬眠するため、比較的安心して森の中を歩けるようになります。先日、岩尾別川流域で出会ったミズナラの巨木をご紹介します。
 ウトロから知床五湖方面に向います。岩尾別川にかかる橋を渡ると、冬期通行止めとなりますが、 岩尾別橋の手前で山スキーを履いて、岩尾別川の左岸沿いをラッセルしていきます。すぐに流れ込んでくる支流に沿ってさらに進むと、大きな堰堤に突き当たります。
 堰堤を越え、適当な位置で川を渡ってから、斜面を登ります。斜面を登り切ると段丘状の平坦な地形になりますが、しばらく段丘状の森の中、白イ川の右岸に沿ってラッセルを続けます。
 歩き出して約1km、左手の急な尾根の途中にそのミズナラがあります。下から見上げるとそれほど大きなミズナラには見えないのですが、急斜面を登ってそのミズナラの根元にたどり着くと、山側の根がぐっと張り出しており、意外と太い幹であることがわかります。
 今回幹周りを測ってみましたが、5.8mありました。雪の無い時期に測定すると、もう少し太くなるかもしれません。

   岩尾別川流域は、ヒグマが撮影できる可能性の高い場所で、シーズン中はいつもアマチュアカメラマが張り込んでいるほど、ヒグマの出没頻度が高い地域です。近年、堰堤の改良が行われ、サケ・マスが遡上しやすくなっているようなので、秋にこの森を歩くのは最高度のリスクを引き受けることになります。
 厳冬期も安全とは言えず、冬眠しない個体が報告される年もあります。過去の事例では、誤って冬眠穴に落ちてヒグマに襲われる事故が多数報告されています。
 比較的アクセスが簡単な位置にあるのですが、ヒグマが生息する森を歩く経験が十分ではない人にはお勧めできません。ただ、岩尾別川沿いをドライブするだけでも知床の針広混交林の景観を十分に楽しむことができますのでご心配なく。
Hiroaki.S
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スキーの大きさから、幹周の大きさが実感される。実測幹周5.8m。


辺りは一面の雪。後方に見える三山は、右から羅臼岳、三ツ峰、サシルイ岳です。(Hiroaki.Sさん同定)


その羅臼岳の素晴らしい写真を送っていただきました。
「岩尾別からウトロへの帰路の途中で、サーモンピンクに染まり始めた夕暮れ時の羅臼岳を撮ったものです。」(Hiroaki.Sさんのメールより)


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