北海道斜里町の「知床のミズナラ巨木林」 (2008.5.25、Hiroaki.Sさん)


 Hiroaki.Sさんは知床をこよなく愛する人である。Essence of SIRETOKO - 知床の魅力という素晴らしいホームページを開いておられる。そのHiroaki.Sさんから、知床の巨木の写真を送っていただいた。以下は送っていただいた文章である。
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    北海道斜里町「ミズナラ巨木林」   撮影日2008.5.25他

 私は、巨木が林立する美しい森を探し出すというテーマを持ちながら、季節を問わずに知床の山中を歩き回ることを趣味にしています。これまでに私が知床で出会った3番目に大きな木、巨大なミズナラが残る巨木林を紹介します。
 抜伐を受けた明るい尾根から谷筋に降り、笹薮が多くて見通しの悪い疎林を根気良く探すと、端正なミズナラ(幹周約485cm、写真1)に出会うことが出来ます。ここから鹿道を歩いて谷筋を上がっていくと、幹が折れて枯死したミズナラ(幹周約565cm、写真2)に出会うことが出来ます。
 これまでの私の経験から言うと、知床半島では幹周3.0m以上、4.5m以下のミズナラであれば比較的容易に探し出すことは出来ますが、5mを超えるミズナラとなると、ほとんど不可能と言ってもいいぐらいに探し出すことは困難なものとなります。その意味でもこの枯死したミズナラは貴重な存在であると考えています。
 ここから、注意深く探しながら鹿道を20分も歩くと、薄暗い斜面にどっかりと存在する巨大なミズナラ(幹周約610cm、写真3)に出会えるはずです。「巨大な塊」と表現するのがしっくりくるほどにとてつもなく大きく、長い年月を生き抜いてきた驚くべき生命力と、徹底的に切り尽くされた知床の森の中で、今まで切り倒されることのなかった強運の持ち主であるそのミズナラと偶然出会えた奇跡のような瞬間は忘れることができません。
 そしてさらに鹿道を辿って細い尾根上を探すと、合体木と思えるミズナラ(幹周約495cm、写真4)に、そしてさらにここから1時間ほど歩くと幹周約485cmのミズナラ(写真5)と出会うことができます。

 今回、管理人さんの了承を得て、ミズナラ巨木林の詳しい場所はあえて公開しないことにさせていただきました。このエリアはヒグマが頻繁に出没し、遊歩道や登山道もありません。正しいベアコントロールの方法を理解、実践していない人や、正確な読図能力と豊富な登山経験のない人が安易に立入るにはリスクが大きすぎます。さらに、エコツアーなどを主催する企業等にとっては非常に有望な商品性、経済的価値があると思われますので、入り込み人数の急増によって起こるであろう様々な悪影響を考慮し、非公開という判断をさせていただきました。
 森を見る目が肥えていない人なら濃い緑で覆われた木々を見て、知床の原生林はすばらしいと思うかもしれませんが、道を外れていざ森の中を歩いてみると目を覆いたくなるような光景に出くわすことが多々あります。それでもいつかどこかで驚くような巨木に出会うことができるかもしれない、まだまだ知床も捨てたものじゃない、そんな夢を持ち続けていられる可能性が知床にはある!ということを知っていただきたくて今回ご紹介させていただきました。          Hiroaki.S
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写真1 (撮影日2005.5.25)


写真2 (撮影日2005.5.25)


写真3 (撮影日2005.5.25)


写真4 (撮影日2005.5.25)


写真5 (撮影日2005.6.5)


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