北海道小樽市の「恵美須神社の桑」 (2004.5.18、10.1、西村さん)


 今月の北海道の巨木は、小樽市にある恵美須神社の桑である。恐らく北海道で最大のものであろう。日本一は群馬県の「薄根の大桑」といわれる。単幹としては最大であるが、この写真の荒れ狂うような3つの巨幹には日本最大といえそうな迫力がある。西村さんの素敵な説明を読んでみよう。
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 小樽の祝津には灯台・漁港・鰊御殿・水族館などがあり、古くから栄えた地域です。漁師の人たちが建立した恵美須神社が小高いところに小じんまりと立っています。その横に巨大な桑の木が、ご神木として社を守るように控えています。標板には「恵美須神社の桑記念保護樹木  この樹木は、推定樹齢約280年のヤマグワで安永3年(1774年)に恵美須神社が創建されて以来、神木として住民に敬愛され、保存されてきました。 主幹は地上30cmのところから三つ又に分かれ、枝は南北に約15mに広がっており、ヤマグワとしては国内でも珍しい大樹となっています。昭和47年3月25日指定  北海道」とあります。
 社は文久3年(1863年)の建立とのことですから141年間、風雪に耐えてきたことになります。5/18に訪問したのは写真1と2です。若葉が萌え始めたところです。多くの木々を倒した今年の9月8日の台風18号では、社はびくともしませんでしたが、ご神木の方は向かって右の2本の大枝が犠牲となってしまいました。10月1日の写真3には新しい傷跡が生々しく残っています。
 文献では根回り570cmとあります。自分で計ってみました。地上20cmの幹周は606cm、1.5mの目通りでは環境庁の方法で計ると、3本の合計が(256+253+257)=766cm となりました。ヤマグワの日本記録は知らないのですが、ひょっとしてかなり上位の順位であろうと思います。台風で荒れた境内は氏子の手で綺麗に整理されていました。雑草も刈り取られていて、丁寧な管理が為されているようです。300年に渡って漁師の守り神として漁港の上から見守ってきた巨木です。早く傷を癒して元気になってもらいたいと思います。  小樽水族館の手前300m辺り左手に古い番屋があり、その横を入ると鳥居があります。崖を30mほど登った高台に社があり、向かって左にご神木、右に大きなイチイ(278cm)があります。
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5月14日の写真



台風の後、10月1日の写真。右の大枝が折れて傷跡が生々しい。


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