愛知県名古屋市中区の「西脇町の大樟」 (2001.10 尾形さん)


 名古屋市の「西脇町の大樟」は保存の方向で検討されることになりました。ご協力に感謝します。
 最初にご連絡を頂いた名古屋の川瀬さんから、朗報が入りました。(10月 3日)
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「クスノキ残して」涙のお年寄り−区画整理事業で伐採危機(中日新聞より)
 樹齢千年といわれ「樹霊」が宿るとして信仰を集める名古屋市中区松原一丁目の雲龍神社境内のクスノキが、伐採の危機に直面している。境内を含む周辺の土地が、市の区画整理事業の保留地のまま二十八年間も“塩漬け”となっているため、十月中にさら地にして売却されるという。幼いころから「くすのきさん」と呼び、親しんできた地元のお年寄りは涙を流して悲しんでいる。
 クスノキは神木で樹高約二十メートル、幹回り約七メートルの大木。「弘法大師が植えた」「織田信長が戦勝祈願に手を合わせた」などの伝説も残っている。
 一九四五(昭和二十)年三月の空襲で焼けて枯れかけたが、幹の根方から新しい芽が吹き復活。戦災に打ちひしがれた地域住民の励ましにもなり、神秘的な姿を取り戻した。
 周辺の約八百三十平方メートルは民間所有だったが、戦後の復興区画整理事業の中で市の保留地となった。換地は七四年にすべて終了。この時点で保留地は売却して換金し、区画整理事業費に充てなければならなかったが、保留地のまま今日に。
 信仰を集める場所でもあり、市は十年以上前から地元町内会などへ買い取りの打診をしたが、地元も資金がないなど受けられなかった。市の“塩漬け土地”を調べた市監査委員が九七年と今年三月の二回「処分せよ」と指摘したため、市は売却することを決め、九月に町内会に木の伐採を通告した。
 元松原学区区政協力委員長の星屋宏憲さん(84)は「土地を売って何千万円になるのか知らないが、あれだけの木を切る価値が、その値段にあるのか」と木を救えなかった無念さをにじませる。「くすのきさん」の清掃を朝晩続けてきた女性(75)は「十月の例祭を繰り上げて九月に最後のお祭りをした。涙が止まらなかった」と声を震わせた。
 名古屋市市街地整備部の恒川平章・事業監理課長 由緒ある木だし、何らかの形で残したいが、今のままでは無理だ。木を活用した土地利用をするという買い手でも現れれば別だが…。地元の協力があれば、若木を別の土地に移植することも検討したい。

“助命”嘆願の署名集め開始−名古屋市が伐採方針「くすのきさん」(10月1日中日新聞夕刊より)
 市が伐採する方針を固めた中区松原一丁目、雲龍神社の神木「くすのきさん」へ、切られる前に一目見ようという見学者が市内各地から駆けつけてきている。長年、木のお守りをしてきたお年寄りは五日、切らないよう市へ訴える力になってもらおうとノートを置き、見学者から嘆願署名を集め始めた。
 「くすのきさん」は地元で「樹齢千年」と伝えられるクスノキの大木。戦災復興の区画整理事業の中で、神社が保留地扱いとなり、その後、処分されないままだったため、監査委員の指摘で、市は土地売却を急ぎ、近く、さら地にすると地元町内会へ通告してきた。
 町内会は十年以上前から市に指摘されてきた土地だけに、半ばあきらめムードだが、朝晩の掃除などお守りを続けてきたお年寄りは悲しみに暮れる。
 しかし木のピンチを知って、四日ごろから見学者が頻繁に訪ねてくるようになると、励まされ、市へ最後のお願いをするための署名集めをすることにした。
 千種区から来て署名に応じた児島朋子さん(27)は巨木ファン。インターネット掲示板で「くすのきさん」を知り、八月にも見学に来たばかり。「伐採と知り、慌てて来た。戦災の跡もあり、大きいだけでなく歴史の重みを感じさせてくれる木なのに、悲しくなってしまう」と手を合わせた。
 趣味のカメラで撮影に来た千種区の会社員男性(52)は「道路を通すとか公共の大きな目的のために切るなら分かるが、保留地処分では理由にならない。市街地に残った巨木は大切にすべきだ」。中村区からタクシーで駆けつけた八十六歳と七十六歳の女性二人は「ここまでになるのは大変な年月だ。どうして切れるのか」と署名していた。

 以前に「長太の大楠」の写真をお送りいただいた尾形さんから、2つ目の大楠の写真が届いた。最近引っ越した家の近所で見つけられたそうである。尾形さんの写真は、大層雰囲気がある。この木もきっと凝って写されたのであろう。
 名古屋地下鉄名城線の「東別院」で降りて西に歩くか、JRの「ナゴヤ球場前」で降りて東に歩くと、松原町である。
 大樟の説明板の写真も送っていただいたが、樹高15m、幹周り12m、樹齢1000年で、昭和7年に県の天然記念物に指定され、昭和15年に保存会が出来たとある。写真の説明板が昭和15年に立てられたとは考えにくいが、カタカナ混じりで書かれている文体や、「武運長久」等の言葉は、戦前の雰囲気を彷彿とさせる。
 以下は、尾形さんの解説です
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 先日引っ越しをしまして、近所を探索していたらこんな大楠を発見しました。大変に立派な木で、高札によると樹齢一千年とか、弘法太子お手植えとかの言い伝えがあるそうなのですが残念な事に、大部分が朽ちてしまっています。
 所在地は名古屋市中区松原二町目雲龍神社境内にあります。
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