北海道八雲町の「桜野のイチイ」 (2003.12.16、西村さん)


 西村さんから送って頂く北海道の巨木も25本目、イチイとしては5本目となる「桜野のイチイ」である。いつも綺麗な写真を送って下さり、「木々の移ろい」は他に例を見ないほど北海道の巨木が充実している。以下は、西村さんによる解説である。
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 国道5号線、八雲から函館寄り約8Kmの「(桜野温泉)くまね荘」の看板で右折、13Km程で桜野温泉への入り口がある。それを通り過ぎて1Km程行くと、小高く上りきったところの右手に忽然と太い幹が現れる。推定樹齢1000年のイチイである。白い柵に囲まれ、お地蔵様風の石仏が置かれている。幹には大きな空洞があり、中の石碑には馬頭観音と刻まれている。そばの標柱には
 「八雲町保存樹 いちい 推定千十年 所有者前田秀次(宮園町) 昭和50年4月22日選定 八雲町教育委員会」とある。
 名が付いていないので、取りあえず「桜野のイチイ」と言っておく。幹周420cm、イチイとしては、今金町の常代の松と並んで北海道15位である。空洞が大きい割には樹勢は旺盛で、枝の張り出しや葉の濃さは立派である。辺りは既に冬であるが、イチイはすぐ左手に10本ほどの大小のとど松や栗の木を従えて、白い背景の中に緑色の堂々とした群落を形成している。幹の裏側は3分の1ほどが枯れているらしい。
 イチイの周辺の笹は定期的に刈り払われているようだ。世話をする人たちがいるらしい。ここは野田生川(のだおいがわ)が創ったゆるやかな谷あいである。この奥には牧場があり、乳牛がのんびりと草を食む風景が見られる。この道路はこの先、日本海側の乙部町まで続いているが、南西沖地震で途中が崩れ通行止めとのことである。
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 JR函舘本線で函舘から1時間、札幌からは3時間の、野田生(のだおい)駅に降りる。ここから13kmで桜野温泉であるが、バスはない。温泉に入ったり、宿泊したりする予定を立てれば、駅からは送迎バスが利用できる。




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