北海道斜里町の「ドロノキの巨木」 (2008.6.29、Hiroaki.Sさん)


 Hiroaki.Sさんが知床でも珍しいドロノキの巨木の写真を送って下さった。ドロノキとは可哀相な名前であるが、その由来は泥地に生えるからとも、成木の幹が泥色であるからとも、また、材が泥のように軟らかいからとも言われる。ヤナギ科の木で巨木に育つ。ヤマナラシなどと同じく、花の後の5-6月に綿毛を周囲一杯に飛ばす。以下はHiroaki.Sさんの文章です。
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    北海道斜里町(奥蘂別川中流域)のドロノキ   Hiroki. S (撮影日 2008.6.29)

 知床半島に現存する数ある巨木の中で、最も太くて大きな木がどこにあるのかは知りませんが、今まで出会った巨木の中で、ずば抜けて太い幹を持ち、見上げていると首が痛くなるほど背が高く、非常に印象的な巨大なドロノキをご紹介させていただきます。
 国道334号線から奥蘂別川右岸沿いの車道をしばらく進みます。防鹿柵を越えると直ぐにゲートがあります。これより奥は車両の進入はできません。  このゲートから約5km進んだ地点にある橋を渡って500mも歩くと、明瞭に続いていた林道は完全に笹薮に覆われて不明瞭になります。ここからは標高約245m付近にある二股を目指して川沿いに歩きます。
 そのドロノキは二股よりも少し手前の右岸側に聳え立っています(写真1、2)。周囲にはこれほど大きな木はありませんし、非常に背の高い巨木なので見落とすことはないと思います。
 近くに寄ってみると、しっかりと地面に根付いた幹が、想像以上に太いことに驚かされるのではないでしょうか。胸高幹周りは約6.95mあります。
 今では笹薮に覆われ、橋が落ちてしまって車の通行はできませんが、このドロノキがある二股から少なくとも2km上流までは林道があります。過去には上流から次々と伐採された木材を運んだトラックがこのドロノキの傍を走り抜けて行ったと考えられます。
 恐らくこのドロノキは経済的な価値がないと判断されて切り残されたのでしょう。この場所に根を下ろしてから、今まで洪水のように膨れ上がった河川水に何度も根元を洗われたことでしょう。今まで生きてきたこれまでの長い年月を想像しながら、これからも生き続けて欲しいと強く願わずにはいられません。
 なお、入林の際は、あらかじめ網走南部森林管理署(〒099-3632 斜里郡小清水町字小清水656-1電話(代表):IP:050-3160-5775 NTT:0152-62-2211)までお問合せ下さいますようお願いします。
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(註) ドロノキの若木では幹に横の筋が入るが、巨木になると縦の筋が目立つようになると言うことなので、ドロノキの同定でよいと思われるが、葉の写真と初夏の綿毛の写真があれば同定が決定的になろう。

写真1 手前右側のハルニレの老木の奥にあるのがドロノキ


写真2 ドロノキ全景


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