沖縄県那覇市の「首里金城の大アカギ」 (2007.2.15)


 空港から那覇中心部まで、モノレールに乗った。ここから見る沖縄には、初めて見た40年前の面影は全くない。本土復帰前の、重苦しいしかし未来に熱を込めた、あの沖縄の表情はすっかり影を潜め、明るく近代的な街に流行と消費の波が押し寄せていた。
 首里城周辺からは琉球大学が姿を消し、立派な正殿が復元されている。かつてはただ一つ首里城の名残をとどめていた守礼の門の周辺もすっかり整備されて公園となった。その守礼の門の左手の道を(南へ)降りて道を横切ると、急傾斜の石畳の小道が続く。なかなかムードのある小径で、小道100選に選ばれているそうである。急坂を降りきって自動車道を横断し、更に20mほど小道を進んで左折すると「大アカギ」の案内板があり、突き当たりの鬱蒼とした辺りに大アカギの群落がある。
 予想していたよりも遙かに迫力があり、ゴツゴツとした根方がしっかりと大地を掴んでいる様子に感動すら覚えた。ここには、首里金城(しゅりきんじょう)の大アカギと呼ばれる6本のアカギが育っており、いずれも樹齢200年以上と考えられる。最も大きなものは樹高約20mで、幹周は5.6mある。いずれも国指定の天然記念物である。アカギ(Bischofia javanica)は琉球列島からオーストラリアにかけてみられるトウダイグサ科の木で、沖縄では普通に見られるが、本土ではお目にかからない。第2次大戦以前には、那覇市内に巨木群が幾つか有ったが、ここ首里城のもの以外は激しい戦闘の犠牲となって消失してしまった。
 沖縄では、是非「ひめゆりの塔」を訪れたい。暗い洞窟の中で、ウジにまみれた負傷兵達を懸命に看護した若い乙女達が、悲惨な最期を遂げなければならなかった戦争の不条理を、生き残った語り部の口から直接に聴き、その思いを我々自身が後世に伝えなければならないと思う。




ひめゆりの塔


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